ケラチン遺伝子発現制御に関与する転写因子の精製・クローニング
Project/Area Number |
07770647
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Dermatology
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大槻 マミ太郎 東京大学, 医学部(病), 講師 (90185330)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | ケラチン / IFN-γ / シグナル伝達 / 転写因子 / STAT |
Research Abstract |
近年,ケラチンK17はケラチンの中で唯一,IFN-γによって誘導されるケラチンであることが判明した。K17は筋上皮細胞などで発現するが正常表皮細胞には存在せず,病的状態では乾癬や腫瘍において発現されてくるため過増殖型とも呼ばれるが,ユニークな機能として細胞の収縮能や形状変化,あるいは細胞外マトリクスとの相互作用にも関係するらしいことが推測されている。一方,IFN-γをはじめとする細胞表面のサイトカインレセプター活性化によるシグナル伝達は,近年精力的な研究によりJAK-STATシグナル伝達経路の発見へと至り,IFN-γ刺激ではSTAT-91が細胞質内でチロシンリン酸化を受けて迅速に核へ移行し,自ら直接DNA上のGAS(IFN-γ activation site)に結合することによって遺伝子転写を活性化することが判明した。そこで筆者は,IFN-γによるK17発現制御機構を解明するため,K17遺伝子調節領域DNAのdeletionをCATベクターに組み込んだプラスミドを正常表皮細胞にトランスフェクトし,IFN-γの存在しない非存在下で培養後CATアッセイを行って転写活性を測定し,IFN-γの制御を受ける部位のmappingを試みたところ,2カ所においてIFN-γ inducibilityに有位な差が認められ,この2つはともにGASとして機能していると考えられた(実際それらは既報告のGASと塩基配列上ホモロジーを有する)。ゲルシフトによってSTAT-91のGASへのin vitroにおける結合が証明され,さらにSTAT-91に対するモノクローナル抗体添加でバンドがスーパーシフトすることが示された。結局,K17遺伝子の発現を誘導するIFN-γによって活性化される転写因子STAT-91は,通常細胞質内に存在するシグナル伝達分子でもあり,IFN-γが細胞表面のレセプターに結合してシグナル伝達が起こると核内に移行し,K17遺伝子上流域にあるGASに結合することが証明されたわけである。このことは,リンパ球がIFN-γシグナル伝達経路を介して最終的にケラチノサイトの細胞骨格蛋白を誘導しうることを示しており,表皮細胞とリンパ球の関連を検討する上で非常に興味ある知見であるといえよう。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)