Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
乾癬,痒疹,アトピー性皮膚炎など種々の慢性炎症性皮膚疾患病変部では末梢神経線維の増生が確認されている。この現象が表皮から産生される神経成長因子によってもたらされるとの仮説を立て,これを裏付けるためのモデルとして以下のような実験を行った。 剃毛したモルモット背部皮膚にアセトン外用,掻破刺激,粘着テープによる角層のstrippingという3種類の刺激を連日加えて,刺激前,5,10,15日後に各部位の皮膚を生検した。対照として,剃毛のみで刺激を加えない群を設定した。生検した組織はホルマリン固定した後パラフィン包理切片として,PGP9.5に対するポリクローナル抗体を用いた末梢神経線維の染色と神経成長因子に対するモノクローナル抗体を用いた表皮細胞の染色を行った。染色された神経線維の単位面積当たりの密度はディジタルアナライザーを用いて計測し,表皮における神経成長因子の発現強度は陽性細胞の数を数えることにより半定量的に評価した。 その結果,表皮周辺の末梢神経密度はいずれの刺激においても時間経過とともに対照と比較して統計学的に有意な増加を示した。表皮における神経成長因子の発現は刺激開始前と比較して増加が認められたが,時間経過との関連は認められなかった。なお生検組織の一部を凍結切片とし,神経成長因子mRNAに特異的なoligonucleotide probeを用いて行ったin situ hybridizationでは,表皮における神経成長因子mRNAの発現は検出感度以下であった。 以上の実験結果は,表皮細胞により産生された神経成長因子によって,皮膚末梢神経線維の増生が生じる可能性を示唆するものであった。
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