Research Abstract |
近年、アトピー性皮膚炎は増加傾向にあり、成人例、難治例の増加も目立ってきている。アトピー性皮膚炎の病因、病態については、種々の要因の関与が示唆されているが、いまだ解明されていないのが現状である。現在、多方面よりの研究がなされている。好酸球はアトピー性皮膚炎の成因に重要な役割を果たしていると予想され、今までにT細胞由来の遊走因子をはじめ、種々の好酸球遊走因子も発見されている。成人のアトピー性皮膚炎患者を気道アトピー合併の有無皮疹の状態などにより分類し、T細胞株、STO-2由来好酸球遊走因子(PI5,PI6,PI7,PI8,PI9)や既知のGM-CSF,IL-3,IL-5,RANTESなど各種の好酸球遊走因子に対する末梢血好酸球の遊走能の比較実験を行った。気道アトピー合併の有無,皮疹の状態(安定期,活動期)において好酸球遊走性が異なることが明らかになった。気道アトピー合併群が非合併群に比べすべての遊走因子に対して高い遊走率を示した。皮疹の活動期では、安定期よりも有意にPI5,PI6の遊走率が上昇し、遊走パターンが異なることがわかった。これらの好酸球の遊走反応からアトピー性皮膚炎の皮疹活動期における特有の好酸球出現の可能性が示唆される。今後、さらに例数を増やし、また、PI5,PI6に遊走する好酸球はどのような好酸球であるかを検討するために表面マーカーやレセプター発現の違いについての解明も行いたい。
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