Research Abstract |
当科で樹立したyolk sac tumor由来の細胞株(放射線感受性株:NMT-1,抵抗性株:NMT-1R)を用いて,放射線による潜在的致死障害からの回復(以下,PLDR)と放射線感受性ならびに薬剤併用による回復阻害とアポトーシスの関連についてin vitroで検討した.薬剤としてはエトポシド(VP-16)とカフェイン(CAF)を用いて行い,照射後にそれぞれ1時間接触させた.回復阻害の評価としてrecovery rayio(以下,R.R)を算出した.これは,回復に与える薬剤の影響を考慮するため,併用時の生残率を薬剤単独の生残率で割って補正して照射単独時との比をとったもので,1以上が阻害なし,1以下が阻害ありと判断した.感受性株と抵抗性株の放射線単独でのR.Rは,それぞれ2.2,3.7と抵抗性株で大きい傾向が認められ,照射後のincubation timeとの関係では抵抗性株は3時間ですでに大きな回復がみられるのに対して,感受性株では6時間でピークを示した.薬剤の併用は抵抗性株で行った.VP-16併用では,0.1μg/mlでは阻害効果はなく1μg/mlで阻害効果がみられた.また,CAF併用では10mM以上の濃度で阻害効果が認められた.両薬剤の併用はVP-16,CAFの順で接触させ実験を行った.結果は両薬剤単独では阻害効果のない0.1μg/mlおよび5mMの併用で阻害効果がみられ,CAFのVP-16に対する増感効果と考えられた.同条件でflowcytometryで細胞周期の解析を行ったところ,VP-16単独ではG2 blockがみられるが,CAFを併用するとG2ピークの低下があり,ブロックの解除を起こしていることが示唆され,これが増感効果の原因と考えられる.アポトーシスの発現を検討するために,ladder formationを検討したが,抵抗性株では現在までにladderは放射線単独また薬剤併用でも認められていない.現在も実験進行中である.
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