Research Abstract |
CTおよびMRI検査にて腫瘤と大動脈の間に脂肪層が確認できず浸潤の可能性ありとされた肺癌奨励4例と進行食道癌6例,計10例の臨床例で血管内超音波による大動脈浸潤の診断を行った.全例男性で46歳から75歳,平均年齢は60.3歳である.使用した装置はアロカ社製ラジアルスキャン式体腔内超音波装置SSD550で,15MHZの探触子と組み合わせて検査を行った.検査のため血管造影用シースをあらかじめ大動脈に留置するが,探触子の位置をコントロールするため先端にsigmoid curveもしくはsingle curveを付けた2種類のシースが自作した.上行大動脈に接していた肺癌の1例(症例3)では探触子のコントロールができず腫瘍の観察ができなかったがそれ以外で探触子を腫瘍が接する部位に近付けることは容易で,大動脈と腫瘍の両者を同時に描出することができた.手術がおこなわれた肺癌3例中十分な観察ができた2例では血管内超音波検査では浸潤なしと診断し手術にてそれが確認された.手術が行われた食道癌5例の内1例で浸潤ありと診断,他はなしと診断した.浸潤ありとした例では手術所見として強い癒着があったが,剥離可能であった. 症例数が未だ少ないため引き続いて研究を続ける予定だが,これまでの研究成果は良好で,研究速報として日本医学放射線学会雑誌に今年度(1995年度)内に投稿予定である.
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