Research Abstract |
うつ病患者において,髄液中ソマトスタチン(SRIH)濃度の低下や,各種の成長ホルモン(GH)刺激因子に対する反応性の異常など視床下部-成長ホルモン軸の機能異常を示唆する報告がみられる.われわれはこれまでうつ病の発症にストレスが大きく関与していることに着目し,ラットに長期間の歩行ストレス絵を加えることによってうつ病モデル動物を作成してきた.今回は視床下部-成長ホルモン軸について検討した. うつ病モデル群では,下垂体系-正中隆起部のSRIH含量が回復群および対称群に比し有意に低下していた.また,下垂体前葉のGH含量は対照群に比し低下し,血漿中のGH能動は増加していた.血中での成長ホルモン放出ホルモン(GRH)に対するGH分泌応答はうつ病モデルで回復群,対照群に比し過大反応を示した.下垂体周灌流系におけるGRHおよびSRIHに対するGH分泌応答には変化がみられなかた.室周核のSRIHmRNA量をin situ hybridizationにより検討するとうつ病モデル群で回復群に比べ有意な減少がみられた. 以上のことから,うつ病モデルラットではGH分泌に対するSRIHの脱抑制がみられ,このことがうつ病の病態生理に関与することが示唆された.
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