Research Abstract |
6-hydroxydopamine(6-OHDA)による黒質破壊後,ラットは破壊側へのメタンフェタミン誘起回転運動を示した。この回転運動は,移植後完全に修復され,移植群の中には破壊反対側への回転運動を示すラットも認められた(回転運動機能の過代償)。破壊後17-21週(移植後14-18週)に行った脳内微小透析法のよる線条体細胞外液中のドーパミン濃度は,破壊側線条体ではほぼ測定不能であったが,移植により有意な回復を示し対照群との有意差も認められなかった。芳香族アミノ酸脱炭酸酵素阻害剤のNSD-1015により細胞外液中で測定可能となったL-3,4-dihydroxyphenylalanine(L-DOPA)と5-hydroxytryptophan(5-HIP)濃度の,L-DOPA(100mg/kg,i.p.)投与後の変化を観察した。対照群・破壊群・移植群で群間に有意差を認めなかったが,各群L-DOPA投与後のL-DOPAの上昇,5-HTPの減少傾向が認められた。L-DOPA投与後にみられる5-HTP濃度の減少傾向は,L-DOPAが線条体tryptohan hydroxylase(TRH)活性に抑制的な影響を及ぼしていると考えられる。移植群では,破壊群と比較して5-HTPの有意な上昇がみられ,移植によるTRHの過活性が示唆された。統計的な有意差は伴わなかったが,破壊群は比較的5-HTPの反応に乏しい傾向があった。tyrosine hydroxylase(TH)免疫組織化学法により,破壊側黒質致密部および同側線条体のTH活性の消失を確認した。また,移植部線条体に神経突起を有するTH陽性細胞を多数確認した。同様のモデル動物を用いて,線条体c-Fos発現を免疫組織化学的に観察した。
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