Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
染色体は3q27関連の相互転座は非ホジキン悪性リンパ腫に高頻度に認められ、中でも日本人に多く認められる大細胞型のリンパ腫に特徴的といわれている。3q27上に新たなるがん遺伝子が存在することが以前から推定されていたが、我々のグループは染色体転座t(3,22)を有する症例から,遺伝子BCL6のcDNAのクローニングに成功し報告した(Blood,86,26,1993.Blood,86,217,1993)。新しい転座関連遺伝子BCL-6はそのDNA塩基配列からzinc-fingerドメインを有する転写因子としての機能が推定され、B細胞性悪性リンパ腫の発生に大きく関与していると考えられた。この遺伝子のB細胞における分化、増殖、あるいは増腫瘍性などのメカニズムの解明のために、我々はcDNAのクローニングに引き続いて、BCL-6の発現実験およびポリクローナル抗体の作成や遺伝子の構造解析などをすすめた。BCL-6遺伝子の構造に関し全長で26Kbであり、9つのexonからなることを報告し(Leukemia,8,1327,1994)、さらに遺伝子発現調節領域に関しては、正確な転写開始点の決定、さらに上流領域に関して転写活性を制御するプロモーター領域を同定、報告した(Biochem Biophys Res Commun,214(2),461,1995)。BCL-6遺伝子については、転写開始点上流-657bpまでに強いプロモーター活性があり、5′側上流領域1,5Kbまでの間にはCACCC、E-BOX、GATA-1のなどのモチーフがみとめられており、現在解析が進んでいる。しかしながらこれらのエレメントが実際に転写調節に機能しているか否かは、今後の更なる解析が待たれる。BCL-6遺伝子は正常では、成熟リンパ球以外ではその強い発現は筋細胞に限られており、また遺伝子上流領域には筋細胞に特異的エンハンサーとして働くコア配列であるE-boxやE-boxと協調して働くとされるCACCCといったエレメントの存在がみられるなど、BCL-6遺伝子の組織特異的な発現調節の可能性、またそれに関わる新たなトランス作動性因子の存在も想定された。今後の研究では、これらのエレメントに関して、その特異性や新たな結合因子の関与の解明を行い、遺伝子レベルで解析を行う予定である。
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