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¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
1.研究目的:肝移植による免疫学的寛容の誘導で移植ラ島の生着率向上を試み,その機序を解明する。 2.研究実施計画の主な変更点:(1)実験動物:免疫制御剤なしで肝は生着するがラ島は拒絶されるモデルとして,当初予定の純系ラットDA→PVGをF344→LEWの移植系に変更。(2)方法:技術的理由から,免疫学的寛容状態の誘導手段として計画していた異所性肝移植をまず同所性肝移植に変えて検討した。 3.新たに得られた知見等の成果:(1)ラ島正着日数:ラ島単独移植では7〜9日(中央値8日)であったが,同所性肝同時移植により11〜100日以上(中央値30日)と有意に延長。(2)F344リンパ球に対する移植後LEW血清中のリンパ球障害性抗体価(LAb):ラ島単独移植では、LAbの上昇はわずかだった(2倍)が,肝同時移植により,著明に上昇(2000倍)。(3)移植肝,ラ島のHE,免疫学的染色による組織学的検索:ラ島単独移植では,拒絶時にラ島への著明なリンパ球浸潤があったが,免疫染色ではラ島に抗体の沈着は認めず。一方,肝同時移植により,移植肝は中等度リンパ球浸潤があったが,免疫染色ではラ島に抗体の沈着は認めず。一方,肝同時移植により,移植肝は中等度リンパ球浸潤,免疫染色での抗体沈着をみたが,肝内に移植されたラ島は抗体リンパ球の攻撃を受けなかった。以上から,(1)ラ島移植では,拒絶反応の主体はリンパ球であり,抗体の関与は少ない。(2)肝移植によるラ島の免疫学的寛容の機序は,リンパ球の攻撃対象が,抗体の沈着した移植肝に向けられるためと考えた。 4.今後の研究の展開に関する計画等:肝移植法(同所性か異所性か),ラ島の移植部位,肝移植の時期の違いによる検討,また,PCR法によるcell chimerizmの解明,LAbのラ島に対する特異性(indirect immunofluorescence study,FACS analysis等)。Mixed lymphocyte reaction(MLR)でのT細胞機能の評価によりさらなる機序の解明が必要と考え,現在実験を追加ないし検討中である。
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