Project/Area Number |
07771038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Thoracic surgery
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷川 誠紀 京都大学, 医学研究科, 助手 (10252438)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1995: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 食道癌 / 食道亜全摘術 / 術後呼吸器合併症 / 気管粘膜血流 / プロスタグランジンE1 / レーザードップラー法 |
Research Abstract |
【対象と実験方法】 (1)対象 食道術群(n=12):胸部食道亜全摘術+縦隔リンパ節廓清(2又は3領域廓清)、対照群(n=6):腹部限局手術施行群。いずれの群も放射線治療、化学治療を受けないもの。年齢、性別、手術時間、麻酔法等について両群間に差はなかった。 (2)方法 全身麻酔、筋弛緩剤投与下に、気管粘膜血流(Tracheal Blood Flow、以下TBF)を経気管支鏡的にレーザードップラー法にて気管分岐部膜様部で測定。さらに、血行動態の影響を除外するため、TBF係数(TBF/心係数)も検討した。 (3)実験のデザイン 実験1:手術前後にTBFを測定し、変化を観察した。 実験2:術後、PGE_1(0.05μg/kg/min. )投与前と15分点注後のTBF測定。 2群間の比較はStudent-t test 及びANOVA(Analysis of Variance)を用いて統計的に解析した。 【結果】 (1)実験1 術前のTBF値は両群間に差がなかった。食道術群では術前TBFが21.78±9.60ml/min. /100g(mean±SD)であったのが、術後11.24±4.45と有意に低下した(p=0.002)。対照群では術前26.13±6.84、後26.61±4.69と、有意な変化を示さなかった。 (2)実験2 食道術群ではPGE_1前のTBF11.53±4.58が、PGE_1後14.87±6.30と有意に上昇した(p=0.021)。対照群では前29.41±7.89、後29.41±8.79と、有意な変化を示さなかった。 実験1、2共にTBF係数の変化もTBFと同様であった。 【Discussion】 この研究は世界で初めて臨床症例において縦隔リンパ筋廓清を伴う食道術後にTBFが低下することを実証し、これが同手術に呼吸器合併症が多い原因の1つであることを強く示唆した。また同時に、その治療法としてPGE_1の可能性も明らかにした。 【結論】 縦隔廓清を伴う食道亜全摘術群でTBFは有意に低下した。同群のみで術後PGE_1投与によるTBFの有意な増加を認め、PGE_1が同手術の術後呼吸器合併症を減少させる可能性が示唆された。
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