Research Abstract |
【実験方法】グルタミン酸受容体阻害薬MK-801およびNBQXによる脊髄虚血障害に対する予防効果判定の目的でNew Zealand rabbitの対麻痺モデル(腎動脈下大動脈単純遮断30分間)を用いて以下の3群に分けて実験を施行した。I群:コントロール群(n=6)=腎動脈〜分岐部の局所潅流法にて生食60ml注入 II群:MK-801群(n=6)=腎動脈〜分岐部の局所潅流法にてMK-801 3mg+生食60ml注入 III群:NBQX群(n=5)=腎動脈〜分岐部の局所潅流法にてNBQX 3mg+生食60ml注入 3群における神経学的評価(modified Tarlov soore)を術後12,24,48時間目に行い、さらに48時間目に10%ホルマリン潅流固定後、犠牲死させ脊髄を摘出し固定後光学顕微鏡により病理組織学的に評価した。 【実験結果】24時間目の神経学的評価はI群:0.67±1.03、II群:4.67±0.52、III群:3.40±0.89であった。II群・III群ともにI群に対して神経学的評価(24時間目)は統計学的(Mann-WhitneyのU検定)に有意差(p<0.01)を認めた。II群・III群間にも有意差(p<0.05)を認めた。神経学的評価(modified Tarlov soore)ではI群=対麻痺,II群=完全保護,III群=軽度保護の所見を示した。 病理組織学的には神経学的評価に対応してI群(n=5):ほぼ腰椎断面全領域の障害像、II群(n=5):限局性の小範囲の障害像、III群(n=3):限局性の中等度の障害像の所見が得られた。 【結論】グルタミン酸受容体阻害薬であるMK-801およびNBQXによる予防効果が認められたことから,グルタミン酸の神経毒性が脊髄虚血障害・対麻痺発生に関与することが示唆された。
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