Research Abstract |
肺摘除の急性期における循環動態の把握,特にNOの肺動脈圧に及ぼす影響を検討した.(方法)ビ-グル犬を用い全身麻酔下に体血圧(BP)及び動脈血液ガスをモニタリングし,大腿静脈よりスワンガンツ カテーテルを挿入後,肺動脈圧(PAP),心拍出量(C.O.)を測定した.その後,右肺摘除を施行し直後,60′,120′にPAP,PaO2,COを測定.更に,PAPが一定となった120′からNOを5ppm吸入した.(結果)PAP(mean±SDmmHg)は術前,7.2±1.85,術直後,14.1±3.32^*,60′,12.0±2.67^*,120′,10.7±3.43(^*p<0.01 vs 術前値)また,NO吸入15′,7.6±2.22^*,30′,7.2±2.0^*,60′,7.0±1.94^*(^*p<0.01 vs 術後120′)であった.一方,C.O.(mean±SDL/min)は術前,1.26±0.44,術直後,1.73±0.39,120′,1.04±0.11,NO吸入後15′,1.07±0.06,60′,0.96±0.11で,PaO2(mean±SDmmHg)も術前,252.4±10.88,術直後,210.5±40.34,60′,207.9±42.9,120′,211.8±44.12,NO吸入後15′,232.4±23.6,30′,249.9±5.73′,60′,246.7±3.4と肺摘除,吸入NOともに術前値との有意差はなかった. (考察)肺摘除後は肺動脈圧が有意に上昇し徐々にadaptationがみられ2時間後には術前値と有意差はなく一定となる.この時点でNOを吸入すると15分後には選択的に肺動脈圧を是正した.吸入NOは体血圧及び心拍出量に影響せず肺循環のみに作用し安全かつ有効であった.また,術後急性期かつ強制換気中には低酸素血症はみられず,換気・血流不均等を改善するNOの作用も認めなかった.
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