虚血脳における神経栄養因子の誘導と興奮性細胞障害の相関について-遅発性神経障害との関連において-
Project/Area Number |
07771078
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Cerebral neurosurgery
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木内 博之 東北大学, 医学部・付属病院, 助手 (30241623)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 脳虚血 / 神経栄養因子 / チロジンキナーゼ受容体 / 遅発性神経傷害 / BDNF / NGF / immediate early gene / in situ hybridization |
Research Abstract |
ラット中大脳動脈(MCA)閉塞におけるimmediate early gene(c-fos)と神経栄養因子の発現。MCA閉塞後1、4、8、24時間の時点でc-fos,brain derived neurotrophic factor(BDNF),nerve growth facter(NGF),neurtrophin(NT)-3およびそれぞれの受容体であるtrk B, trk A, trh CのmRNAの発現について検討した。c-fosは虚血後4時間をピークに虚血中心部を除く皮質全体に誘導され、さらに海馬、視床、黒質にも誘導された。BDNFとtrkBも虚血後4時間をピークに虚血部を除く皮質全体および両側海馬に誘導されたが、視床と黒質には誘導されなかった。NGFも虚血中心部を除く皮質全体に誘導されたが、虚血時間に依存して誘導は増強した。海馬では両側のdentate fyrusにのみ誘導された。trkAには変動を認めなかった。NT-3とtrkCは虚血後誘導は認められず、虚血後4〜8時間にかけて一過性に信号強度の減少が生じた。両者とも皮質においては変動しなかった。さらに、BDNFとtrkBについて30分と90分のMCA閉塞後血流再開1、4、8、24時間においてin situ hybridizationを施行した(30分虚血は皮質に梗塞巣を形成しないが90分虚血は梗塞巣を形成する)。30分虚血群においては血流再開後4時間に一過性に虚血部にのみmRNAの誘導を認めたが、虚血領域外には誘導は認められなかった。90分虚血群においては上記の非血流再開群と同様の誘導パターンを示したが、海馬においては両側性に誘導された。 c-fosとBDNFの誘導に対するNMDAと細胞内Caの増加の関与。c-fosとBDNFの虚血後の誘導に対するNMDA阻害剤のMK-801(4mg/kg)と細胞内Caの抑制効果を有するpotassium openerのcromakalim(10ng, 脳質内投与)の効果について検討した。MK-801はc-fosの皮質、海馬、視床における誘導を抑制したが、黒質における誘導は抑制しなかった。一方、BDNFの誘導は皮質、海馬ともに抑制された。cromakalimはc-fosとBDNFの誘導を全域で抑制した。 MCA閉塞によりtranssynapticに皮質、海馬、視床、黒質に神経興奮を生ずるが、遅発性神経障害を呈する部位には神経栄養因子、特にBDNFは発現しないことが明らかとなった。また、遅発性神経障害を呈する視床はNMDAを介するCaの細胞内流入により神経興奮に陥っているが、黒質は他の機序により細胞内にCaが流入し神経興奮を生じていることが示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)