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¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
血管内皮細胞にはアセチルコリンなどの血管拡張物質の受容体が存在する.これらの受容体の刺激により,血管内皮細胞内Ca^<2+>濃度が上昇し,一酸化窒素合成酵素(NOS)が活性化され,遊離した一酸化窒素(NO)が血管平滑筋を弛緩する。一方,多くの麻酔薬は血管拡張作用を有しているが,血管内皮細胞におけるNO産生にどのような影響を及ぼしているのか不明である. われわれは,血管内皮細胞のNO量の変化の指標として,血管内皮細胞内Ca^<2+>濃度の変化を測定し,ケタミンの血管内皮細胞におけるNO産生に及ぼす影響を推定した. 膜透過性Ca^<2+>感受性蛍光色素(Fluo 3 AM)を負荷したウシ頚動脈経代培養血管内皮細胞を,共焦点レーザー顕微鏡下に観察しながら,数々の濃度(10^<-8>〜10^<-3>M)のケタミンを負荷することにより,ケタミンの血管内皮細胞内Ca^<2+>濃度に及ぼす影響を直視下にとらえた.結果,10^<-6>〜10^<-3>Mの濃度で,ケタミンは用量依存的に血管内皮細胞内Ca^<2+>濃度を増加した. ケタミンによる麻酔の導入は,通常2mg・kg^<-1>のケタミンを投与した場合,血漿中のケタミンの濃度は,投与1分後に1.1×10^<-4>Mに達し,5分後には約6×10^<-5>Mとなる.本研究結果は,ケタミンが臨床使用濃度で血管内皮細胞におけるNO遊離と血管平滑筋の弛緩を惹き起こして可能性を示している.
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