Research Abstract |
1)神経切離実験による非アドレナリン非コリン性(NANC)神経の局在の解明 雌成犬で片側の下腹神経、骨盤神経を切離、2週後に尿道の右、左半で平滑筋標本を作製した。ノルエピネフリン(NE)に対する濃度反応曲線は神経切除側、健側で有意差はなかった。NE10^<-5>Mによる前収縮下で経壁電気刺激を行ったところ周波数依存性のNANC弛緩反応がみられ、この弛緩はNOS阻害剤のL-NAMEで抑制された。この反応には切除側、健側間で有意差はなかった。 2)非NO弛緩反応の神経伝達物質 犬尿道の平滑筋切片に対する高頻度(16Hz,32Hz)の電気刺激ではL-NAMEで抑制されない持続性の弛緩が残存した。テトロドトキシン(TTX)3×10^<-7>Mの存在下ではすべての弛緩は抑制された。尿道平滑筋切片に対するCGRP,ATP,PACAP,GABAの投与では有意な弛緩は得られず、SP投与では収縮がみられた。VIP投与では濃度依存性に弛緩がみられた。しかし、この弛緩はTTX抵抗性であった。VIPの拮抗剤VIP10-28の存在下では高頻度(16Hz,32Hz)の電気刺激による弛緩反応を抑制できなかった。 3)カプサイシン感受性知覚神経の関与 NE10^<-5>Mによる前収縮下でカプサイシン5×10^<-6>Mを投与したところ弛緩反応がみられた。このカプサイシンによる弛緩はTTXで抑制されなかった。しかし、L-NAME存在下では弛緩は抑制された。NK1受容体拮抗薬RP67580,NK2拮抗薬L659877,CGRP(8-37),VIP(10-28)は有意な抑制効果を示さなかった。 まとめ 犬尿道のNANC神経の局在はこの実験では解明できなかった。非NO弛緩反応の神経伝達物質を確定することはできなかった。尿道のカプサイシン感受性知覚神経の刺激で尿道平滑筋が弛緩し,これはNO系を介することが示された。
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