Research Abstract |
1.ヒト膀胱におけるVacuolar H^+-ATPase(V-ATPase)の証明 V-ATPaseの72kDサブユニットに対する抗体を用いてヒト膀胱上皮におけるV-ATPaseの細胞内局在を検討した。光学顕微鏡,蛍光顕微鏡での観察に加え,共焦点レーザー顕微鏡,免疫電顕を応用したが,最外層腔面細胞膜の存在は認められたが,細胞質内の局在は証明できなかった。 2.コラーゲン・ゲル三次元膀胱培養系におけるV-ATPaseの発現形式 コラーゲン・ゲル内に線維芽細胞を包埋培養して粘膜固有層に相当する層をつくり,その上層で膀胱移行上皮を培養する。移行上皮は分化増殖し,基底層細胞から中間層細胞,さらに最外層細胞へと重層し,膀胱上皮の再構築がin vitroで観察できた。特異抗体を用いた免疫染色により,膀胱最外層細胞にV-ATPaseの発現が確認された。 3.セリウム塩による酵素組織細胞科学によるV-ATPaseの検出 V-ATPaseの酵素活性をp-nitrophenyl phosphateを基質とし,セリウム塩を捕捉剤として検出を試みたが,非特異反応が強く,V-ATPaseの細胞内局在を酵素活性の面から確認することは不可能であった。 4.膀胱V-ATPaseの機能の検討 バフィロマイシンの前処理を行ないV-ATPaseの活性を阻害したマウス群では未処理群に比し尿路感染の発症が低率である傾向を認めた。
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