Research Abstract |
表在性膀胱癌における免疫動態を末梢血リンパ球サブセットにより検討した.採血は,治療前と経尿道切除術後,及びそれ以降は経時的に行った.末梢血リンパ球サブセットは,anti-CD4 (FITC), anti-CD57 (FITC), anti-CD11b (FITC), anti-HLA-KR (FITC), anti-CD8 (PE), anti-CD16 (PE), anti-Leu-8 (PE), anti-CD20 (RD1)を使用し,CD4+Leu8-cells (helper T lymphocytes), CD4+Leu8+cells (suppression inducer T lymphocytes), CD11b-CD8+cells (cytotoxic T lymphocytes), CD11b+CD8+cells (suppressor T lymphocytes), CD16+Leu7-cells (natural killer cell), CD20+HLA-DR+cells (B lymphocytes)をtwo color flowcytometryによりその陽性リンパ球を測定した.現在までに症例数は,37例で,男性:30例,女性:7例,年齢は,44〜88才(中央値:67才)であった.組織学的異型度は,G1:14例,G2:15例,G3:8例で,深達度はTa:13例,Tl:24例であった.担癌状態における免疫状態について異型度・深達度と各リンパ球サブセットとの関連を多変量解析により検討した.治療前の各リンパ球サブセットを独立変数,異型度および深達度を従属変数とすると,異型度・深達度ともにもっとも重みのあるサブセットは,サプレッサーTリンパ球であった.経過観察中に膀胱内再発を来した症例は6例であり,これらの症例について治療前のサブセットについても多変量解析により検討するともっとも重みのあるサブセットは,NK細胞であった.また経尿道切除後と再発時のサブセットを比較した結果,6例中4例がサプレッサーTリンパ球の増加,細胞障害性Tリンパ球の減少を示した.抗癌剤もしくはBCGの膀胱内注入療法の免疫学的効果については現在症例数をかさね,検討中である.
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