エストロゲンの抗動脈硬化作用について(動脈硬化促進因子のmRNA発現におよぼす影響)
Project/Area Number |
07771395
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Obstetrics and gynecology
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
卜部 諭 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (80271170)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 動脈硬化 / 虚血性心疾患 / エストロゲン / 血管平滑筋細胞 / PDGF-α / c-myc |
Research Abstract |
種々の疫学調査で、エストロゲンの投与が、動脈硬化、虚血性心疾患による死亡率を下げる事が実証されるようになったが、これらの作用機序は多岐にわたり、未だ不明な点も多い。本年度、我々はヒト血管平滑筋細胞を培養し、細胞内にER、及びestrone sulfate(E_1-S)を活性化するsulfataseの存在を、血管平滑筋細胞の遊走、増殖に関係するPDGF-α、TGF-β、IL-1、IL-6を、また、細胞周期の制御、遺伝子発現に関するc-myc、efpのmRNA発現に及ぼすエストロゲンの影響をRT-PCRによる判定量にて調べた。 血管平滑筋細胞に対する直接効果については、RT-PCR方にて平滑筋細胞にER、sulfatase活性を確認することができた。このことは、臨床の場で多く用いられている抱合型エストロゲン(主成分E_1-S)を活性化し、ERと共にエストロゲンが細胞に直接作用していると考えられた。また、ERE(estrogen responsive element)にER-estrogen dimerが結合して発現が見られる、efp(estrogen finger protein)の発現も同様にRT-PCR方にて確認し、エストロゲンが血管平滑筋細胞の遺伝子発現に直接影響を及ぼす事を確認した。動脈硬化は中膜の平滑筋細胞が種々の刺激により形質変換し、中層より内弾性板を通り抜け血管内皮下層に遊走、異常増殖して進行する。本年度の検討でもエストロゲンは形質変換、増殖に重要なPDGF-α(80%抑制)や、IL-1(29%)、IL-6(70%)、パラクリン因子として働く内皮細胞のPDGF-αのmRNA発現を有意に抑制した。一方、濃度により、促進と抑制の両作用を持つTGF-βには有意な影響を及ぼさなかった。また、PDGFはその受容体に結合後、MAPK(mitogen activated protein kinase)を介してc-myc,c-jun,c-fosなどのプロトオンコジーンを発現し、細胞を静止期(G0期)からG1期へ移行させる。エストロゲンは細胞内伝達において最終的に細胞を静止期からG1期へ移行するのに必要なc-mycの発現を抑制した。このようにエストロゲンは遺伝子発現機構に直接作用し、抗動脈硬化作用を示すと考えられた。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)