Research Abstract |
我々は、蝸牛感覚上皮の外有毛細胞におけるinositol 1,4,5-triphosphate(IP3)およびdiacylgrycerol(DG)セカンドメッセンジャーシステムの活性化による運動能の調節について検討し、蝸牛外有毛細胞ではムスカリン受容体とプリン受容体がIP3とDHの放出に関係していることを明らかにした。放出されたIP3は細胞内Caイオン濃度を上昇させ、DGはCaイオンに対するProtein kinase C(PKC)の親和性を増大させることによりPKCを活性化し外有毛細胞の運動能を調節していると考えられる。 我々はPKCの組織内局在を免疫組織学的に検討し、PKCが内、外有毛細胞、特に外有毛細胞に広く分布していることを確かめた。今回の研究においては、モルモットの蝸牛感覚上皮に対し、PKCのisozymeであるPKCα,βI,βII,γ,δ,ε,ζのそれぞれに対する抗体を作用させることによってPKCのisozymeの蝸牛感覚上皮での局在について免疫組織学的に検討した。モルモットを抱水クロラール腹腔内注入にて麻酔後、パラフォルムアルデヒドにて灌流固定し、側頭骨を摘出した。さらに、蝸牛外側の骨壁を削開し蝸牛感覚上皮を摘出し、上記の各抗体を作用させ発色させ光学顕微鏡下に観察した。その結果PKCαとPKCδは内外有毛細胞に分布し、PKCβIとPKCγは外有毛細胞に分布、そしてPKCβII,PKCε,PKCζは蝸牛感覚上皮に存在しないことが判明した。 しかし、蝸牛感覚細胞に発現するそれぞれのisozymeの機能は未だ明かでなく、今後の検討が必要である。
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