Project/Area Number |
07771530
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Ophthalmology
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高梨 泰至 京都大学, 保健診療所, 助手 (10226798)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 硝子体 |
Research Abstract |
(1)研究計画 1.過酸化水素感受性蛍光色素のキャリブレーション 2.網膜細胞内過酸化水素定量 3.光照射による網膜細胞内過酸化水素活性への影響 4.人工潅流液中グルタチオンの網膜保護作用 (2)方法 1.過酸化水素感受性蛍光色素のキャリブレーション 過酸化水素感受性蛍光色素には2、7-ジクロロフルオレセイン(DCF)を用いるためフルオロトロンマスター(コヒレント社、現有設備)におけるDCF濃度の測定範囲を10-9-10-5Mの間でキャリブレーションキュベットを用いて蛍光強度を計測する。2.硝子体手 有色家兎(2.3-2.5kg)をミドリンPにて散瞳後、全身麻酔下に硝子体手術を施行。手術用顕微鏡(現有設備)下で開瞼器にて開瞼の後、結膜切開し強膜を露出。輪部より4mmの部位にMVRナイフを用いてinfusion port作成しinfusion tubeを縫合固定。約90度離れた部位にsuction-cutter portを作成しオキュトーム10000(アルコン社、現有設備)を用いて約1分間硝子体切除術施行。硝子体切除後、潅流速度を1.0cc/min. に調節する。3.網膜細胞内過酸化水素定量 網膜細胞内過酸化水素の定量には過酸化水素と反応し蛍光を発する2、7-ジクロロフルオレッセイン(DCF)を指標に用いる。網膜の神経細胞に取り込ませるために、細胞膜を容易に透過するDCFの前駆体、2、7-ジクロロフルオレッシンジアセテート(DCFH-DA)を用いる。硝子体手術後、5オMDCFH-DAにて潅流すると網膜細胞内に拡散したDCFH-DAは細胞内のエステラーゼにより膜を透過しない無蛍光の2、7-ジクロロフルオレッシン(DCFH)に代謝され細胞内にトラップされる。DCFHは細胞内に生じた過酸化水素によって酸化され蛍光を発するDCFになりピコモルレベルの過酸化水素を検出できる。これをフルオロトロンマスター(コヒレント社)を用いて490nmで励起すると520nmにピークを持つ蛍光を発する。これを利用して網膜細胞内過酸化水素活性を定量する。4.光照射負荷 手術顕微鏡による光照射を1800luxおよび3600luxに設定しそれぞれ10分、20分、30分の条件で網膜を照射し、その後の網膜細胞内の過酸化水素活性を定量する。5人工潅流液中グルタチオンの網膜保護作用 対照の潅流液にはBSSを用いる。これに酸化型グルタチオンを添加したBSSplusは角膜保護作用があることは確認されているが、網膜保護作用については明らかではない。網膜細胞内過酸化水素定量により、保護作用の有無を確認する。 (3)研究結果 1.通常の硝子体手術野の後30分間の硝子体潅流液潅流では網膜に2.2+1.1 pMDCFが認められたが、30分間の光照射を行うと21.7+4.8pMDCFを認め、これは統計学的に有意であった。2.潅流液に酸化型グルタチオンを投与することにより、網膜内DCFは4.9+4.1pMに抑制され、これは統計学的に有意であった。 (4)結論 1.硝子体手術における顕微鏡光刺激により網膜内過酸化水素は有意に増加した。2.潅流液中のGSSGは光刺激による網膜の過酸化を有意に抑制した。3.潅流液中のGSSGは網膜内に移行しGlutathione redox cycleに利用されている可能性が示唆された。
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