Research Abstract |
発生ステージ36の鶏胚後肢芽中軸組織を免疫原とした一連のモノクロ抗体を,凍結切片による予備的な免疫組織化学的スクリーニングの結果に基づき5群に分類した(A,軟骨組織特異的2種;B,神経組織或いは筋組織特異的20種;C,細胞外の線維状および基底膜様構造に特異的9種;D,間充織基質を顆粒状に染め出すもの5種;E,その他12種)。これらは,IgG1 33%, IgG2b 20%, IgG3 3%, IgM 44%であった。conventionalな螢光顕微鏡および共焦点レーザー走査顕微鏡(LSCM)を用いた検討の結果、A,C,D群からそれぞれC5G11抗体(IgG1), G12F3抗体(IgG1), E12B2抗体(IgG1)を選抜した。C5G11陽性反応は,培養下マイクロマスの軟骨形成領域にPNAレクチン陽性反応の出現よりもやや遅れて出現し,軟骨noduleが明らかとなる培養3.5〜5.5日では軟骨基質,特に領域基質に強く認められた。この反応はII型collagenやchondroitin(Ch)硫酸によって吸収されず,ChABCase消化でも消失しなかった。また,Ch-O-,Ch-4-,Ch-6-硫酸特異抗体による染色パターンとも異なっていた。一方,G12F3陽性反応は軟骨基質に存在せず,fibronectin(FN)やcollagensと異なるその染色パターンからHurleら(1988)の報告にあるdorso-ventral(DV) fibrilに選択的に結合する抗体と考えられた。G12F3抗原はSDS-PAGE/Western blot解析の結果,200kD以上の分子ではあるが,DV fibril関連分子と見られるFN或いはtenascinとも異なっていた。E12B2抗体による染色パターンは,ES1抗体(Mjaatvedtら,1991)のパターンと類似し,抗原分子相互の関連性を現在検討中である。なお,B群からは,in vivoおよびマイクロマス培養下で筋細胞を特異的に染色する複数の抗体が得られた。これらの抗原分子のサイズは,互いにそしてまたdesminとも異なっていた。E群の抗体には,LSCMによる観察所見から考えて,内皮細胞,間葉細胞ゴルジ体,帆血球系細胞に特異的なものがあった。
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