Research Abstract |
根尖性歯周炎から分離された線毛をもたないが強い赤血球凝集活性を示すPrevotella intermedia strain E18から分離精製した赤血球凝集因子の性状とその普遍性について検討した.なお,性状試験に用いた赤血球凝集因子は,SDS-PAGEにより25kDa付近に一本のbandとなることを確認済である. 1.熱に対する感受性 本凝集因子の残余活性は50°C,10分間の加熱で50%に,60℃,10分間では3.1%に,70℃,10分間では完全に消失した. 2.酵素に対する感受性 本凝集因子の残余活性はtrypsin, chymotrypsin, proteaseおよびhyaluronidaseで完全に消失し,lysozymeでは3.1%に,β-galactosidaseでは50%に,β-glucosidaseでは12.5%に減少した. 3.糖およびアミノ酸に対する感受性 本凝集因子の残余活性はgalactoseとmelibioseで50%に減少し,L-arginineとlactoseでは完全に消失した. 4.pHに対する感受性 本凝集因子はpH7.0〜5.0まで凝集活性に変化はみとめられなかったが,pH4.5では50%に,pH4.0では25%に,pH3.0では12.5%に,pH2.0では6.3%に減少した. 5.他の菌株との共通抗原性(普遍性) Prevotella intermedia strain E18から分離精製した赤血球凝集因子に対する抗血清を用いてその普遍性について検討した結果,多くのPrevotella intermediaと一部のPrevotella nigrescensに本凝集因子と共通抗原性を有する凝集因子が認められた.また,Porphyromonas gingivalis, Fusobacterium nucleatum, Bacteroides fragilisと同様,Prevotella intermediaやPrevotella nigrescensにも本凝集因子と抗原性が異なる赤血球凝集因子が存在することがわかった. 以上の結果から,Prevotella intermedia strain E18由来の赤血球凝集因子は,タンパク-糖の複合体であり,一部のPrevotella nigrescensを除き,種特異的であると考えられる.
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