ヒスタミンによる耳下腺アミラーゼ分泌の脱感作現象とその分子機構
Project/Area Number |
07771663
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Functional basic dentistry
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
江口 貴文 徳島大学, 歯学部, 助手 (90263847)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 唾液腺 / 唾液分泌 / ヒスタミン / 感作 / 脱感作 / 受容体 / G蛋白質 / 老化 |
Research Abstract |
ヒスタミン(H)をラット耳下腺組織に作用させると、アミラーゼ(A)分泌が惹起された。私は当該組織をHで短時間前処理すると、Hに対する反応性が急激に低下する脱感作現象が引き起こされることを見出し、この機序を細胞内情報伝達機構との関連で追究し、下記の成果を得た。 A分泌は1μM〜1mMのHにより濃度依存的に惹起され、1mMにおいて反応開始後30分で対照に比して3倍のA分泌を誘導した。また、この濃度のHで30分間前処理(1st-Incubation,1st-Inc.)した後、10分間新鮮な反応液中で休息させ、再び同濃度のHを作用(2nd-Incubation,2nd-Inc.)させると、A分泌が40%抑制され、脱感作現象が見られた。また、この組織に含まれるc-AMP量を測定すると、1st-Inc.後の組織は対照に比して3倍増加していた。このc-AMP量に比して2nd-Inc.後の組織では40%抑制されていた。即ち、組織中のc-AMP量はA分泌の変化と対応していなかった。Hによるラット耳下腺組織からのA分泌はジフェンヒドラミンによって全く影響を受けず、シメチジンやラニチジンによって拮抗され、H_2受容体を介することが示唆された。そこで、H_2受容体に特異的に結合する[^3H]-チオチジンとの結合実験を行って、耳下腺H_2受容体の存在とその動態を調べた。その結果、ラット耳下腺には[^3H]-チオチジンの特異的結合部位が存在していた。この結合部位はsingle populationで、Bmax値274±22fmol/mg protein・ Kd値は24.5±1.4nMであった。Bmax値、Kd値はHとの1st-Inc.によってそれぞれ478±19fmol/mg protein,48.8±11.3に増加したが、Hとの2nd-Inc.によってそれぞれ316±23、35.0±3.2に減少した。 以上の結果、ラット耳下腺にはH_2受容体が存在し、この受容体の刺激によって細胞内c-AMP量が増加してA分泌が惹起された。Hによる耳下腺の短時間処理によってA分泌に脱感作現象がみられ、この減少にH_2受容体の減量とヒスタミンに対する親和性の低下が伴われていたが、細胞内c-AMP量の変動とは対応していないことが明らかにされた。現在、GTP結合蛋白質との連関性を検討中である。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)