Research Abstract |
骨・腎及び小腸などで、24-水酸化酵素は活性型ビタミンDである1α,25-dihydroxyvitaminD_3[1,25(OH)_2D_3]代謝に主要な役割を演じている。1991年にラットの24-水酸化酵素遺伝子がクローニングされ、24-水酸化酵素の遺伝子発現における制御機構の解明が進んできている。代表研究者はラット24-水酸化酵素遺伝子の塩基配列をもとにoligonucleotideを作製し、マウス24-水酸化酵素のcDNAをRT-PCR法により部分クローニングした。高カルシウム血症作用のほとんどもたない活性型ビタミンDアナログ、22-oxacalcitriolが24-水酸化酵素の遺伝子発現に及ぼす影響について研究を行ったところ、このアナログは本酵素のmRNA及び活性を腎と小腸で増加させ、1,25(OH)_2D_3の分解を促進することにより、血中1,25(OH)_2Dレベルを減少されることを明らかにした(Akeno,N. et al., Biochemical Pharmacology, Vol. 48, No. 11, pp. 2081-2090, 1994)。更に、full lengthのcDNAのクローニングを行ったところ、3.2kbのcDNAが得られ、ラットとのホモロジーはアミノ酸配列で94%であった。現在、Opossum Kidney (OK) cellにマウスの24-水酸化酵素cDNAをstable transfectionさせ、24-水酸化酵素遺伝子をstableに発現するOK cellを作製している。OK cell lineは、ビタミンDreceptorや副甲状腺ホルモン(PTH)receptorを持ち、これらカルシウム調節ホルモン作用を再現し、1,25(OH)_2D_3で処理しても、24-水酸化酵素の遺伝子発現及び酵素活性の出現がみられない。(Horiuchi, N., Saikatsu, S., Akeno, N. et al., Hormone and Metabolic Research, Vol. 27, No.2, pp. 83-89, 1994)。今後、24-水酸化酵素をoverexpressした細胞とmock transfectした細胞(24-水酸化酵素が誘導されない)を用いて、1,25(OH)_2D_3で長期間処理した時の細胞の生存率、ビタミンD代謝のpatern、1,25(OH)_2D_3の分解能力について検索する。また、PTHによるビタミンD代謝の変化についても検討を加える。本研究により、細胞が1,25(OH)_2D_3過剰状態に暴露された時に、24-水酸化酵素がその生存維持にとって必須であるか否かが解明できるものと思われる。
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