Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本研究では,汎用超音波測定装置を使用して,総頚動脈の血流動態に関して種々の項目について測定を行ない,頚部郭清術前後で違いが生じるのか否かについて検討を行なった.対象となった症例数は28,このうち頚部郭清術が行なわれたのは5例であった.症例数は少なかったが,手術前後で頚部血流動態に明らかな変化は認められなかった.これは,頚部片側の手術では,反対側の動静脈による代償作用が十分であるためと考えられた. 今回の検討で行なった様な頚部血管および血流動態に関する詳細な研究は本邦ではほとんど行なわれておらず,超音波測定で高周波探子を使用すれば,頚部血管に関する詳細な検討が可能であることが示された.今回の研究で新しく得られた治験は以下のとおりである. 1.心拍による血管壁の拍動がMモードにより測定可能であることが確認された.わずかではあるが加齢により血管壁の弾性が減少する傾向が認められた.このことは加齢による血管壁の硬化性の変化を反映していると考えられた.2.動脈内の血流状態を測定した.最高血流および血流比(最高血流/最低血流)を測定した結果,加齢により最高血流および血流比は減少した.これは動脈壁の弾性の低下と加齢による血管内径の増大によるものであると考えられた. 以上の結果より,頚部血管に対する超音波検査の有用性が示された.今回の研究結果をもとに,今後は血流量,血管壁の厚み等も測定項目に盛り込んで,頚部郭清術に対する測定のみならず,加齢による血流動態の変化および頭頚部放射線照射が頚部血管に対する影響等についても検討を加え,本邦で増加しつつある脳血管障害に対する検査,治療に役立てていく予定である.
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