Research Abstract |
チタン合金製の根管拡大用器具は,超弾性を有するためしなやかであり,湾曲した根管の拡大形成に有利なことが推測される。このため根管先端部に,9R(mm)で長さが8mmの根管の湾曲部を付与した一定規格の透明根管模型に対し、3種のチタン合金製ファイルと,コントロールとしてステンレススチール製のKファイルを用いて根管の拡大形成を行い,切削動態を検討した。拡大前後の根管形態を万能投影機で用紙にトレースし, ジタイザー,パ-ナルコンピューターを用いて,ファイルの切削動態を解析し、さらにオートグラフを用い器具のたわみ時の荷重を測定することにより柔軟性の評価を行い,以下の結果を得た。 1,ステンレススチール製のKファイルでは25番のサイズで,器具の根管からの逸脱が起こり始めた。 2,チタン合金製のファイルでは,40番のサイズになると器具が根管から逸脱するものがあった。 3,チタン合金製のファイルでは,根管の外湾部よりも内湾部が切削された。 4,オートグラフによるたわみ時の荷重測定の結果,チタン合金製ファイルはステンレススチール製ファイルよりも荷重は顕著に小さく,柔軟性が大きいことが認められた。 5,チタン合金製器具は、その柔軟さ故に切削効率がステンレススチール製器具よりも劣る傾向が認められた。
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