Research Abstract |
組織観察において、長径10mm、各内径200,300,500μmΦアルミナセラミックス細管(以下アルミナ細管と略す)内に形成された骨は、豚皮由来アテロコラーゲン(3mg/ml, ph3.0)type(I)処理群(以下コラーゲン処理群と略す)、対照の無処理アルミナ細管群とともに日本白色ウサギ顎骨埋入6か月にいたるまで経時的に緻密化する傾向が認められ同一標本のCMR画像処理によるハバース層板間の介在領域の石灰化度が高い傾向が認められたが対照群とコラーゲン処理群との有意差は認められなかった。アルミナ細管(a)管口部(b)管口部より2.5mm(c)管口部より5mm(以下(a)(b)(c)地点と略す)断面積組織占有率を比較した結果、孔径500μmΦコラーゲン処理群は、埋入1、2か月とも対照群と比較し軟組織、特に線維芽細胞系の組織増生が多い傾向が認められ、骨増生は経時的に埋入6か月に至るアルミナ細管内骨占有面積(面積率)比較で、(a)地点が最大値となり、以下(b),(c)地点の順でありこの傾向は、対照群と同様であった。顎骨埋入1か月後ないし2か月後の孔径500μmの(a)(b)各地点での対照群との骨面積比較ではコラーゲン処理群が対照群より高い傾向が認められた。しかし3か月、6か月後では対照群とほぼ同様の傾向を示した。顎骨埋入3か月未満において、(a)地点におけるアルミナ細管内組織においてコラーゲン処理群により初期の細胞接着、増生が促進され細管内部骨化、骨増生過程に時間的影響を与える可能性が示唆された。本研究においてアルミナ細管内への骨増生をアテロコラーゲン処理により促進または抑制する可能性を追求したが、今後コラーゲン濃度(強度)の影響と特にコラーゲン自体のアルミナ細管内での吸収と細胞接着への影響を追求する必要がありアテロコラーゲンのアルミナ細管内処理方法(filmまたは充填処理)によっても線維組織被包期(永井-Quintessence4:1781-1800, 1985)過程がどう影響されるか追試すべきである。
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