Research Abstract |
歯科口腔外科領域の全身麻酔では,術野の関係から経鼻的気管挿管が行われることが多い.そこで,鼻腔狭窄による気道内圧への影響について検討をした. 【対象と方法】 対象は,経鼻的気管内挿管にて下顎後退術を予定されたASAIの患者10例とした.気管内挿管前と挿管後に鼻孔よりファイバースコープ(KSオリンパス,LF-2;今回購入)を挿入し,鼻腔内狭窄または屈曲の有無を観察した.気管内挿管後より抜管まで持続的に呼吸監視装置にて気道内圧を測定し必要に応じて動脈血ガス分析を行い,各値が正常範囲内になるよう調節呼吸を行った.対象は,気道内圧により3群(A群10〜14mmH_2O,B群15〜19mmH_2O,C群20mmH_2O以上)に分類し,ファイバースコープにより観察した鼻腔狭窄または屈曲の程度と比較検討した. 【結果および考察】 全症例とも市販のカフ付き気管内チューブを用い,鼻腔内のリ-クはほどんどないように気管内チューブを挿入した.A群(4例)は,鼻腔狭窄や屈曲は認められず気道内圧も正常であり,術中換気に問題なかった.B群(4例)は,鼻腔狭窄や屈曲は軽度認められたが頭部位置移動時に気道内圧に多少の変化がみられる程度であった.C群(2例)は,鼻腔孔より7〜8cmのところに狭窄部がありチューブ内径が約30%減少した.正常に換気を保つためにはゆっくりと加圧する用手換気が必要で,経鼻挿管限界群と判断された.以上より,経鼻気管内挿管時に気道内圧が20mmH_2Oを超える場合は換気に影響を与えることが推測された.
|