Research Abstract |
本研究の目的は小児の反対咬合の機能的特徴を検索することであり、そのために(1)総合的な計測システム,(2)その結果を客観的に把握できるようなシステムの構築ならびに(3)反対咬合,正常な咬合を有する小児の計測を行ないその機能的な特徴の評価および比較を行なうことを予定した。以下その達成度について報告する。 (1)下顎運動計測装置や歯冠形態計測装置など複数の現有設備と本研究費で購入したIndy(SiliconGraphics社製)とをEthernetで接続し,Indy上で情報を一元管理し,(2)のシステムが可能となった。 (2)AVS(Application Visualizing System)とGL(SiliconGraphics Graphic Library)を利用して,下顎運動軌跡や咬合接触状態を表示することができ,現在外来患者の保護者等への治療の説明やインフォームド・コンセントを得るために使用している。この一部は論文として既に報告している(11.研究発表中)。 (3)反対咬合患者では,下顎が咬合の終末位において上顎前歯により前方に誘導されることが考えられ,その特徴は下顎顆頭部の動きに表れると思われた。そのため比較の対象となる下顎顆頭部の運動の正常像を歯年齢別に明らかにすることを優先的に行ない,論文として報告した(11.研究発表中)。また,いくつかの症例については計測を行ない,その特徴については(2)文中の論文中に報告した。 上記のようにシステムの構築は当初の予定通り行なえたが,研究の途中で下顎顆頭部の動きを調べる必要が生じたため,最終目的である反対咬合の機能的特徴の検索は症例数がやや少なく,明確な結論は出せていない。今後この点を明確にし,予防的な治療の必要性が論ぜられる方向で研究を継続する予定である。
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