Research Abstract |
1.研究の目的: 本研究は、粉塵の粒度と構成成分との関連性について分析することを目的として、粒度別粉塵濃度の測定と同時にエアサンプラーによる粉塵の捕集を行い、X線回折ならびにEPMA(電子線マイクロアナライザー)により、定性分析および元素分析を行った。 2.材料および方法: 測定は本学歯学部附属病院の補綴科(1995年8,10月)ならびに保存料(1995年9,11月)にて,各月任意の4日間を選び粉塵の測定を行った。粉塵の粒度分布は,自動微粒子測定器 PARTICLE COUNTER PCK-3010 A型(柴田科学)にて1日3回(8:30,10:30,15:00)測定を行い1lに換算した値を測定値とした。粉塵の成分分析には,労研TRサンプラー(柴田科学)で1日7時間(28時間/月)集塵を行い、定性分析にはX線回折(島津XD-3A 型),元素分析にはEPMA(島津EPMA-8705)を用いた。 3.結果および今後の予定: 各診療室の粉塵粒度分布(0.3〜0.5,0.5〜1.0,1.0〜2.0,2.0〜5.0,5.0μm以上)の幾何平均値は、補綴科(201113,34274,1826,302,75count/l),保存科(112696,16752,1589,297,66cout/l)であり、補綴科の方が粉塵濃度は高い傾向にあった。しかし粒度分布の割合は両診療室とも類似しており、約85:14:1:0.2:0.04であり、0.3〜1.0μmの粒度粉塵で99%を占めていた。 X線回折分析では、補綴科の8月28.5,22.8,23.3(2θ・)、10月38.3,20.4,39.6(2θ・)、保存科の9月26.3,26.4,28.1(2θ・)、11月26.7,23.0,28.8(2θ)に回折線の存在が認められた。EPMA分析では、K,Ca,Si,S,Cd,Ba元素が検出された。 今後これらの分析結果を基にさらにSEM(走査型電子顕微鏡)による粉塵の形態観察、有機質粉塵との関係について解明するとにより、歯科診療室粉塵の病原性について検討したい。
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