エナンチオ場選択的酸化付加を基盤としたシクロヘプテン誘導体の触媒的不斉合成
Project/Area Number |
07772080
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Chemical pharmacy
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 美洋 北海道大学, 薬学部, 助手 (90226019)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 触媒的不斉合成 / エナンチオ場選択的 / パラジウム / シクロヘプテン誘導体 / (-)-clavukerin A / (-)-clavukerin C |
Research Abstract |
シクロヘプテン誘導体の触媒的不斉合成を達成するために、先ず最も簡単な基質である3,7-diacetoxy-1-cyclohepteneのコンピューターを用いた配座解析を行った。その結果、MM2を用いた分子力場計算及びMOPACを用いた分子軌道計算に基づいたheat of formationのいずれも、アセトキシ基がオレフィンのp軌道と平行でありPd触媒に対して酸化的付加可能なpseudo-axial体が、最安定配座であるpseudo-equatorial体に対し1kcal/mol以内の範囲に存在することがわかった。そこでPd(OAc)_2(3mol%)存在下、光学活性配位子として(S)-BINAPO(6mol%)、塩基としてNaHを用い、3,7-dibenzoxy-1-cyclohepteneとdimethylmalonateをアセトニトリル中、-10℃で反応させたところ目的とする6位に求核剤が導入されたシクロヘプテン誘導体が収率40%、鏡像異性体過剰率24%eeで得られた。そこで更に、5位に置換基を導入した5-(di-tert-butyldimethylsilyloxy)-3,7-dibenzoxy-1-cyclohepteneを用い同様の条件で反応を行ったところ、目的とする6位に求核剤が導入されたシクロヘプテン誘導体が19%、80%eeで得られたのに対し、2位に求核剤が導入されたシクロヘプテン誘導体が53%、32%eeと主成績体として得られた。そこで求核剤をより立体的に崇高いdimethyl2-(1-propenyl)malonateに換え検討したところ、目的とする6位に求核剤が導入されたシクロヘプテン誘導体2のみを80%、60%eeで得ることに成功した。2は更に、oppolzerらの条件に従いPd触媒を用いene反応により2環式化合物であるbicyclo[5.3.0]decane誘導体3へと収率良く変換できた。現在、3を天然物である(-)-Clavukerin A及びCへの変換を検討中である。本研究により、これまで光学活性体での合成が困難であった7員環化合物及びbicyclo[5.3.0]decane誘導体の触媒的不斉合成法を開発できたことになり、極めて興味深い結果を得ることができた。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)