キラルなロジウム(II)錯体を触媒とする不斉炭素-炭素結合生成反応の開発
Project/Area Number |
07772082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Chemical pharmacy
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡邉 信英 北海道大学, 薬学部, 助手 (80220911)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1995: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | キラルなロジウム(II)錯体 / 芳香環C-H挿入反応 / インダノン誘導体 / FR-115427 / カルバペネム系抗生物質 / 分子内C-H挿入反応 |
Research Abstract |
エナンチオトピックなベンゼン環識別に基づくエナンチオ選択的芳香環C-H挿入反応では、ロジウム(II)N-フタロイル-(S)-フェニルアラニナ-ト錯体を触媒とする場合、基質のカルボニルα位の置換基の崇高さが反応のエナンチオ選択性に影響しする。その点を克服すべく種々検討した結果、ロジウム(II)N-フタロイル-(S)-tert-ロイシナ-ト錯体が種々の反応基質において極めて高い不斉識別能を発現することが明らかにした(88-98%ee)。さらに、本方法論の反応研究の一つとして、in vivoにおいて海馬CA1領域の虚血性神経細胞死に強い保護作用をもつNMDA受容体拮抗剤FR-115427の不斉合成を検討し、光学純度100%の両対掌体の合成に成功した。この化合物は、同様な生理活性をもつMK801とともに脳内神経活動ならびに情報伝達系レセプターの構造解明ための生化学的試剤として重要な位置を占めており、いずれも不斉合成による構築が困難な第四級不斉炭素を含むイソキノリン骨格をもつ。構造活性相関による系統的研究を行なう場合これらの類縁体の供給が必要となるが、今回の応用研究は本方法論がそれを可能することを示すものである。 α-ジアゾアセトアミドの分子内C-H挿入反応においては反応の化学選択性が窒素原子上ならびにα位の置換基の影響を受ける。したがって、2-アゼチジノン誘導体の不斉合成に適用する場合、高エナンチオ選択性を獲得するには、不斉錯体の構造はもとより、反応基質が重要なパラメーターとなる。種々検討の結果、窒素原子上にtert-ブチル基、ジアゾα位にメトキシカルボニル基をもつ基質を用いる場合、良好な結果が得られることがわかった。さらに、アミド窒素原子と分子内に存在する酸素原子とがシクロヘキシリデンアセタール保護された基質を用いて検討した結果、最高96%のエナンチオ選択性を実現することができた。また、生成物はPS-5ならびにチエナマイシン等のカルバペネム系抗生物質の合成中間体へ誘導可能である。本方法論は、従来殆ど例のないβ-ラクタムの触媒的不斉合成法を提供するものである。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)