免疫系細胞におけるプロスタサイクリン受容体の発現と機能
Project/Area Number |
07772167
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Biological pharmacy
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉本 幸彦 京都大学, 薬学部, 助手 (80243038)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | プロスタサイクリン / プロスタノイド受容体 / 7回膜貫通型受容体 / 胸腺 / T細胞 / 後根神経節 / 痛覚過敏 / 動脈平滑筋 |
Research Abstract |
プロスタサイクリン(PGI_2)は、種々の刺激に応じて主に血管内皮細胞で産生される不安定なアラキドン酸代謝物であり、特異的な受容体を介して血小板凝集阻止作用及び血管平滑筋弛緩作用を示す。申請者らは、マウスならびにヒトのPGI_2容体cDNAを単離することによって本受容体の一次構造を明らかにし、これが7回膜貫通構造を有するG蛋白共役型の受容体であることを見いだした。本受容体はアデニル酸シクラーゼの活性化を引き起こし、胸腺、肺、心臓、脾臓に発現していることを明らかにした。これらのうち、胸腺や脾臓はこれまでその発現が全く知られていなかった部位であり、PGI_2と免疫細胞の機能との関連が初めて示唆された。本研究の目的は、PGI_2受容体の発現細胞を同定し、これら発現細胞におけるPGI_2の機能を解析することにより、免疫系をはじめとするPGI_2の新しい生理作用を分子レベルで明らかにすることである。そこで本年度は、受容体cDNAをプローブとしたIn Situ Hybridization法により、その詳細な発現部位を同定することを試みた。その結果、本受容体は、大動脈・環状動脈・肺動脈・脳動脈等の血管平滑筋において強い発現が見られたが、静脈系には発現は認められなかった。また、胸腺では髄質にのみ発現し、成熟した胸腺細胞に発現していることが判明した。さらに、脾臓においては、リンパ球、巨核球に発現していることが分かった。一方、本受容体は、後根神経節の約40%の神経細胞に強い発現が見られた。タキキニンを神経伝達物質とするニューロンとの対応を調べたところ、その約70%が本受容体を発現していたことから、本受容体が痛覚伝達と密接に関連していることが推察された。これらの成果より、本受容体は、従来考えられていた循環器系での作用のみならず、免疫系、神経系における作用を示唆するものである。本研究では、次に、これらの発現部位における生理機能を解明するために、受容体欠損マウスの作成を検討し、既にその作成に成功している。今後は、このマウスを有効に利用・解析することにより、上記のように同定された部位における本受容体の生理的意義を明らかにしていく予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)