Research Abstract |
悪性リンパ腫における,骨髄・末梢血への微量病変の浸潤を,分子生物学的手法を用いて高感度に(検出する目的で研究を行った. 17例のB細胞系非ホジキンリンパ腫について行った.リンパ節生検材料から,genomic DNAを抽出し,免疫グロブリン重鎖遺伝子(immunoglobulin heavy chain:IgH)のgene rearrangementの検出をPCRにて行った.17例中,11例でrearrangement bandが検出された.得られたrearrangement bandをポリアクリルアミドゲルにて分画,精製し、T-vectorにライゲーションし,シークエンスを行った.これをもとに,各症例毎に,リンパ腫細胞DNAに特異的なPCRプライマーと非RIプローブを作成した. 微量病変の検出を目的とした検体(骨髄穿刺液,末梢血など)からDNAを抽出した.各症例に特異的なプライマーを用いてPCRを行い,腫瘍細胞特異的DNAの増幅を行った.さらに非RIプローブを用てサザン・プロット解析を行い,検体中の腫瘍細胞特異的DNAの検出を行った. 11例中9例で微量病変が骨髄,末梢血中で検出された.これらは全例で,従来の光顕レベルではリンパ腫細胞の検出が不可能であった.これにより臨床的病期診断がIV期に変更されると考えられた症例は6例であった.(他3例は画像診断などで臨床病期がはじめからIV期と診断されていた.)このことから悪性リンパ腫における微量病変のDNA診断が,臨床的に有用であると思われる.今後症例を増やして,予後との関連などをさらに追求して行く予定である.また,得られたDNAプローブを用いたin situ hybridezation(ISH)によるsingle cellレベルでの検出は,現在,検出条件を検討中である.
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