Research Abstract |
癌化学療法を繰り返している成人患者72名を対象に、患者の主観的評価による「治療を繰り返す生活がどの程度大変であるか」と、「治療を繰り返す生活をどの程度うまくやれているか」、の2点を治療を繰り返す生活の困難度の指標とし、それらと調査より得られた身体・心理・社会的因子とで重回帰分析を行い、化学療法を繰り返す生活を困難にする要因として、以下の結果を得た。 まず、「治療を繰り返す生活の大変さ」は、1)自分の疾患や治療について考えこむこと(標準回帰係数bs=0.638)と、2)自分が罹患したことで家族や身近な人が問題を抱えたと思うこと(bs=0.249)から影響を受けており(重相関係数R=0.764,p<0.0001)、1)は身体の動き(bs=0.379)、活気(bs=-0.434)から影響を受け(R=0.661,p<0.0001)、また、2)は今の幸福感(bs=0.328)、清潔行動(bs=-0.433)、身体の動き(bs=0.805)から影響を受けていた(R=0.720,p<0.0001)。 次に、「治療を繰り返す生活をどの程度うまくやれているか」は、1)自分自身への満足度(bs=0.335)、2)今後の人生への希望(bs=0 .410)、3)周囲との付き合い(bs=0.541)、4)外での活動(bs=-0.315)から影響を受けていた(R=0.804,p<0.0001)。また、1)は今の生活への満足度(bs=0.531)、化学療法による副作用の数(bs=0.371)から影響を受け、(R=0.668,p<0.0001)、2)は疾患や治療についての説明の十分と思うか(bs=0.324)、今の幸福感(bs=0.446)、罹患前の生活への満足度(bs=0.276)から影響を受け(R=0.722,p<0.0001)、3)は外での活動(bs=0.687)に影響を受け(R=0.687,p<0.0001)、4)は周囲との付き合い(bs=0.447)、身体の動き(bs=0.424)に影響を受けていた(R=0.771,p<0.0001)。 今後は、この結果をもとに化学療法を繰り返す生活を困難にする要因を早期に予測し、取り除くための看護方法についての検討が必要である。
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