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¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
筑波技術短期大学に在籍する18〜25歳の視覚に障害をもつ学生48名(男性29名,女性19名)を対象として,質問法によるアンケート調査(障害の程度,過去および現在の運動習慣,生活習慣など),自転車エルゴメーターによる有酸素的作業能の測定,大動脈脈波速度(PWV)計を用いた動脈硬化度の計測を行った。また,30〜60代の視覚障害者マラソンランナー11名(男性8名,女性3名)に対しても同様の測定を行った。学生においては,障害の程度で全盲群と弱視群に分けて検討すると,弱視群と比較して全盲群の身体活動量(日常生活における歩数および心拍数),PWC150とも低い傾向にあるにもかかわらず,PWVは低く,大動脈の柔軟性は高い傾向にあった。また,両群とも女子より男子の方が大動脈の柔軟性は高い傾向にあった。一方,視覚障害者ランナーにおいては,加齢とともにPWVは増大したが,晴眼者ランナー同様に,PWVは低値を示した。本研究の結果,視覚障害者においてもトレーニングが加齢にともなう大動脈柔軟性の低下を抑制する効果を持つ可能性が考えられた。しかしながら,全く運動を行っていない全盲学生のPWVも低値であった理由に関しては明らかにすることができなかった。 一般に大動脈脈波速度は大動脈の径の大きさおよび壁厚にも逆相関を示すことが知られている。また,大動脈の径および壁厚はVO_2maxの高い者ほど増大しているという報告がある。さらに,大動脈の径と壁厚はともに増大することも知られていることから考えると,全盲群のPWVの低下には,晴眼者とは異なった因子が関連している可能性が考えられる。今後は,視覚障害者でトレーニングをしていない中高年者を対象に加えたり,継続的なトレーニングがPWVに及ぼす影響を視覚障害者で縦断的に研究を行い,視覚障害者における大動脈の柔軟性に関してさらに検討していく必要がある。また,光刺激が生体に及ぼす影響に関しても追求する必要があると思われる。
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