観光客の手描き地図と観光案内図による都市のイメージ分析
Project/Area Number |
07780132
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Human geography
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
若林 芳樹 東京都立大学, 理学部, 助教授 (70191723)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 都市イメージ / 観光 / メディア / 地図 |
Research Abstract |
本研究は、観光客と住民との間での都市イメージの違いを明らかにするために、金沢市を主たる対象地域として行ったものである。当初予定していた観光客の手描き地図調査は、サンプルの代表性や実施方法の面で難点があることが判明したため、かわりに、都市イメージが端的に表われるメディアの中の地図の内容分析を中心に研究を遂行した。観光客向けのメディアとしては、ガイドブック等に掲載された観光案内図を、住民向けのメディアとしては電話帳広告の地図を、それぞれ主たる資料として採用した。これらの資料の妥当性を確認するために、地図制作会社での聞き取りや広告出稿者へのアンケート調査を行ったところ、制作過程の機械化は進んでいるものの、地図に描かれる要素の選定には、出稿者や作成者の主観に頼らざるをえないことが判明した。地図の内容分析によって得られた知見は、およそ次のようなものである。 (1)観光案内図は全体図と市域を数葉の図面で分割した部分図とからなる2〜3種類の縮尺で構成されている。一方、電話帳広告の地図はすべて部分図であるが、そこに盛られた要素のうち、広域的関係を示す「至〜」という表現に着目すると、少なくとも2つの空間的階層を区別できた。これは、認知地図の階層構造説とも対比できる。 (2)描かれた範囲に着目すると、観光案内図は観光資源が集中する中心市街地に限定されているのに対し、電話帳広告では人口や事業所の郊外化を反映して、広範囲にわたっている。また、いずれの地図にも、ランドマークと主要道路はほぼ共通に描かれているが、とくに観光案内図では観光名所・飲食店・宿泊施設の割合が多い。これらのことから、観光客が認識する空間的範域や地物は、住民の認識するものとはやや異なることが予想される。 (3)上記の点は、比較を行った東京や広島でもほぼ共通に認められた。しかしなら、都市規模が大きくなるほどメディア地図の用途や正確も多様化し、観光客向けか住民向けかの区別も判然としなくなる。この点については、メディア地図の利用状況に関する調査や、なじみのない環境での認知地図形成過程に関する実験的研究などによって、さらに検討を加える必要がある。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)