Research Abstract |
いくつかのグラフ・ネットワーク上の問題を解く効率の良いアルゴリズムを開発した.以下が主な成果である. 1.VLSIの1層配線問題には,2次元平面領域においていくつかの端子対を結ぶ互いに交差しない長さの総和が最小な道を求める問題がよく現われる.ここで“交差しない"とは,同じ点や線分をとおるかもしれないが平面上では交差しないことである.一方,平面領域に長方形の障害物の他に2層配線領域がある場合に,指令された2組の端子対を結ぶ道で,2層配線領域以外では互いに交差せず,長さの和が最小なものを求める問題はVLSIの2層配線問題に現われる.本研究では,この問題を解くO(nlogn)時間のアルゴリズムを与えた.ここで,nは長方形障害物と2層配線領域の総数である. 2.平面上にいくつかの障害物がある場合に指定した2点を結び障害物を通らない道で長さが最小なものを求める問題はさまざまな場面で現われる.本研究では障害物の形状を軸平行多角形に限定し,先に障害物が与えられて前処理が可能である場合のアルゴリズムを与えた.前処理に要する時間はO(n^2log^2n)であり,2点が与えられた時にそれらを結ぶ最短路をO(log^2n)時間で求めることができる. 3.直並列グラフや部分k-木上の多くの組み合わせ問題は線形時間で解けるが,辺彩色問題は直並列多重グラフ上でも今までに多項式時間のアルゴリズムが知られてない数少ない問題である.本研究では直並列多重グラフ上で辺彩色問題を線形時間で解く逐次アルゴリズムとO(log|V|)時間で解く並列アルゴリズムを与えた.ここでVは与えられる直並列多重ブラフの点集合である.この結果はスケジューリング問題を解く上で有用である.
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