Research Abstract |
本研究の計画は以下の3段階から成っていた. 1.実用的条件下でのファジィ推論による関数近似精度の定量的評価. 2.近似精度からみた最適ルール数の選択法の考案. 3.1.2.で得られた結果をふまえた補間推論法の考案. 1.に関しては,ファジィ推論の中で最も扱いやすい方法として代数積演算と中心平均による非ファジィ化法を用いたものをとりあげ,推論規則群の前件部条件のうち隣合うもの同士の距離の最大値hとおいたとき,hの2乗に比例する定数で関数近似誤差の限界を押さえられる見通しがついた.ただし,中心平均法は非ファジィ化としてはあまり一般化ではないので,最も広く使用されている重心法の場合との比較が今後の課題である. 2.に関しては,1.で得られた誤差限界と所要精度から推論規則の前件部の間隔を計算するこができるので,近似区間内のルールの個数を見積ることが可能となった.ただし,誤差限界式は過大評価の傾向があり,ルール数もやや多めに見積られるので,この点についてさらに数値実験による検証を進めている. 3.に関しては,疎なルール間に与えられた入力に対する出力を直接補間する従来の線形補間推論法に対して,本研究では,ルールの間隙を覆うような複数のルールをある種の補間法で補う方法を考案した.補うべきルールの数は2.の成果を用いて見積りを行う.本手法は従来法に比べて計算量は著しく増大するが一度補ったルールはそのまま別の補間推論に適用できるので,制御等への応用を考える場合にはむしろ有利である.さらに,従来法では適切な補間結果が得られなかった特殊な例についても,良好な結果が得られることが実験で示されている.
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