Research Abstract |
本研究では,説明図と説明文という2つのメディアにまたがった情報を計算機によって自動的に関係づけて蓄積する方法,それを質問,検索等の要求に対して提示する方法に関する基礎的な研究を行った.対象としては,教科書や専門用語辞典の図情報(説明図)と自然言語テキスト(説明文)とを選んだ.本研究では,これらの詳細な対応関係を抽出できるようにすると共に,図の持つ定型性,集約(要約)性を用いて,テキスト文脈の構造化や説明事項をわかりやすく説明するための提示方法について研究を行った. 1.説明図と説明文の意味的構造化:説明図は比較的少数の規約的意味に従って書かれているが,この規約的意味は曖昧で状況依存性の強いものである.そのため,説明図の構造を解析した結果と説明文の自然言語処理結果を対応付けることによって,構成,関係,順序,利用(目的)等の意味的構造を識別する方法が有効である。具体的には,説明文の形態素や格情報(格フレーム の深層格)等と図の構造の整合性をチェックすることで,図に対してどのような意味的構造が与えられているかを推定する方法を提案した. 2.構造化されたメディアの有効な提示法:この研究で提案されている処理により得られた結果は,ある程度定型化された図的情報とテキスト情報である.これを用いて,実際にハイパーテキストを構築し,受け手にわかりやすい説明,質問に対する答えを生成できるかどうかを検証した.まず,特定の目的のための質問や検索の答として図的情報を計算機上で生成しながら提示を行なうことが可能になったため,わかりやすい説明が可能になった.また,ユーザの質問に対する文章生成を考えた時,メディア内のデータが簡単な規約的意味で構造化されているために,簡単な文章生成メカニズムで的確な説明を与えることができた.
|