文字情報提示に対する人間の記憶処理能力の揺らぎに関する研究
Project/Area Number |
07780395
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
社会システム工学
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
辛島 光彦 早稲田大学, 理工学部, 助手 (90264936)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1995: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 提示文字情報処理 / 作業記憶 / 揺らぎ |
Research Abstract |
短期記憶保持量の上限の存在は、認知心理学では人間の短期記憶が作業記憶においてなされ、その作業記憶に一定の容量があるためと考えられている。しかし実際には同一の文字情報の提示量、提示条件の(作業記憶における処理量が一定である)場合においても記憶処理に成功する場合と失敗する場合がある。従来の作業記憶の概念では、この現象を適切に説明できない。そこで本研究では従来の概念に加えて、作業記憶の容量は一定ではなく、人間の諸生理機能に見られるようなある程度の周期的変動(ゆらぎ)が存在するために、記憶処理に成功する場合と失敗する場合の両者が生起すると仮定し、この周期的変動の存在を検証することを目的として実験を行った。実験は15名の学生を被験者として、各被験者に文字情報提示量、提示条件、処理プロトコル等の実験条件を一定とした、短期記憶保持を伴う提示文字情報処理課題を等時間間隔で連続に300回行わせ、実験経過時間とともに処理結果の正解、エラーの別を計測した。この実験結果を基に、提示文字情報処理の正解の時間間隔データを作成し、周波数分析を行い正解の時間間隔の時系列変化について検討したところ、全ての被験者において正解の時間間隔には、1/f揺らぎの周期的変動特性が観察された。このことより、文字情報提示に対する人間の記憶処理結果には、α波や心拍R-R間隔の時系列変動に代表される人間の諸生理機能に見られる1/f揺らぎの周期的変動特性が存在することが示された。またこの周期的変動特性は、本実験においては提示条件、処理プロトコル等の実験条件を全て一定としていることから、作業記憶の容量が一定ではなく周期的変動を持つことに起因すると考えられ、作業記憶の容量に周期的変動が存在することが間接的に示唆された。さらに作業記憶の周期的変動の存在を直接的に確認するために、人間の情報処理時間を用いた実験研究を継続中である。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)