Research Abstract |
本研究では,実際の設備の不具合事例を多数収集し,その不具合を未然に防ぐために設備設計の段階で考慮しておかなければならなかった技術情報を抽出,分析することにより,保全予防を達成するための本質的な情報(保全予防のための原理)が何であるかを明確にすることを目的とし,研究活動を行った. まず,設備の停止や故障に関する不具合事例を400件ほど収集した.また,設備管理に関連する文献の調査と従来の設備管理方式のレビューを行った.不具合事例については,1件1件について因果連鎖の展開を行い,保全予防を達成するために必要な情報について考察を加えた.その結果,設備の要求品質,設計ミス,不具合モードの3項目を抽出することが有効であることが明確となった. 設備の要求品質に関しては,設備を機能部位に分割し,機能部位ごとに要求品質を整理した.その結果,機能部位は9種類,要求品質は基本機能,操作性,安全性,保全性,環境性に分類することができ,これにより400件の不具合をすべて分類できることがわかった. 設計ミスについては,設備設計のプロセスをモデル化し,設備設計で決定すべき項目の何についてミスを行ったかという観点で不具合の分類を行った.その結果,大きく分けて7種類のミスがあることが明確となった.また,不具合モードも同様の解析を行い,合計98個の不具合モードを抽出することができ,これらは設備の構造の状態変化に関するモード群と機能喪失に関するモード群に分類できることがわかった. 今後は,これら3種類の情報の関連をまとめ,具体的な保全予防の方法論を確立することが課題となる.なお,設備の要求品質に関しては(社)日本品質管理学会に原著論文として投稿中である.
|