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¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
1.本研究はまず,火山学者の目に触れていないと考えられる史料(とくに地元史料)を系統的に調査し,未知の噴火史料の収集につとめた.その結果,伊豆大島火山に関連した649年,704年など,富士火山に関連した1435年など,これまで知られていなかった天変地異事件の記述をあらたに得ることができた.収集された噴火記述は,コンピュータ(Apple社Macintosh)とデータベースソフト(クラリス社ファイルメーカーPro)をもちいて電子化し,常時検索可能なデータベースを作成した. 2.収集した天変地異記述について,その元史料の成立年や素性についての文献調査をおこない,個々の記述の信頼性の評価をおこなった. 3.二次史料,明らかな誤りのある史料,素性のはっきりしない史料を取り除いた残りの天変地異記述について,その内容から個々の事件の年月日,継続期間,内容を読みとり,火山学的な解釈をおこなった.また,並行して両火山について従来よりも高い精度の噴火堆積物の野外地質調査をおこなった. 4.史料および火山の地質・地形調査から得られた知見を比較・総合し,両火山の噴火史の復元をおこなった.その結果,伊豆大島はカルデラ形成以降24回の中〜大規模噴火をおこなってきたこと,その間の噴火休止期間は長くて200年,短くて10年程度であったこと,従来伊豆大島の噴火と考えられてきた680年,684年,1112年などの天変地異記述は他火山の疑いもあること,これまで新島火山の噴火と考えられてきた886年房総半島降灰事件は伊豆大島火山起源の疑いもあること,富士火山が1560年に噴火したという従来の説には根拠がないが,1435年と1511年に噴火した可能性は捨てきれないこと,などを明らかにし,従来の噴火史を塗り替えることができた.
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