Research Abstract |
本研究は,実効性と即効性が高い反面,人的・物的資源の制約と,時間の制約が強く作用する事後対応を検討し,被害の累積・波及を最小限に抑えるための復旧プロセス最適化手法を検討することを目的としたものである. 本研究ではケーススタディとして,阪神・淡路大震災における都市施設および都市機能の被害と復旧状況をとりあげ,震後復旧プロセス関連の資料整理を行った.調査対象としたのは,(1)水供給処理系ライフライン施設(上水道・下水道),(2)交通系ライフライン施設(道路・鉄道),(3)エネルギー供給系ライフライン施設(電気・ガス)である.これらの被害と復旧を時系列的に整理した結果,個別システムの物理的被害だけでなく,被害の相互連関による連鎖的波及や,防災機能自体の機能損傷,組織連関の不備などが復旧の大きな制約条件となったこと,ライフライン系を中心とする都市基盤施設の復旧状況が都市機能および生活機能に強く影響を与えていることがわかった.このことをふまえて,(1)ライフライン全体系および建物・防災機能の相互連関構造の分析,(2)阪神地域と淡路地域の被害復旧プロセスの比較,(3)ライフライン機能障害による生活困窮の実態調査を行った.これらについては,それぞれ,連鎖構造のシステムモデル化,長期的影響の継続観測,統計データの処理,という側面で進行中である. 研究代表的がこれまで進めてきた「都市震害のシステム分析と被害波及構造のモデル化」,「ライフラインの最適震後復旧アルゴリズム」,「ライフライン地震防災対策の基本構造の分析」,「災害時ライフライン機能障害による生活支障の分析」などの課題と本年度の研究成果を統合し,地震後復旧過程のシミュレーション分析を行う方針である.
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