年輪クロノロジーからみた大気汚染によるアカマツ林の立ち枯れプロセスの実態解明
Project/Area Number |
07780456
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Environmental dynamic analysis
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
土谷 彰男 広島大学, 総合科学部, 助手 (00263632)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1995: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | アカマツ / 立ち枯れ / 年輪 / 反射輝度 / 閉鎖型地形 / 大気汚染物質 / 接地境界層 |
Research Abstract |
広島県瀬戸内沿岸部における深刻な松枯れの実態を把握するため、竹原市・呉市の海岸部、西条盆地盆地底とそこから比高200mの福富町で生態調査と樹幹のサンプリングを行った。前者2地点では1960〜70年代前半に一様に年輪幅の狭い期間が存在し、西条の盆地底では1980年代前半に立ち枯れ、福富町では変化が見られなかった。高木層のアカマツが立ち枯れた西条の林分では天空率が極めて高くなっており、林内下層の広葉樹樹種群の肥大生長量が1980年代後半から加速されていた。400m^2の方形区内におけるアカマツの個体数は、西条を除き大差はなかったが、西条の場合、残存アカマツは5個体と少なく、若齢木に限られていた。 年輪表面の反射輝度を測定すると、竹原と呉の場合、生長鈍化のあった15年間は早晩材の輝度比が小さく、本来、肥大生長が加速され輝度値の高くなるはずの早材形成期の輝度の低下が認められた。 生長の回復している竹原・呉では1970年当時に比べ、現在の大気中のSO_2濃度が7分の1(5ppb)に、NO_2濃度が3分の2(20ppb)に減少している。臨海部の工場の煙突の高層化や脱硫装置の装着が原因と思われる。一方、西条盆地で40ppbを越えるNO_2濃度が出現し、閉鎖型地形における自動車起源の影響が大きいことが示唆された。試験的に盆地内の大学キャンパスで気温プロファイルを計測すると、静天静夜に接地逆転層が出現し、夜間のSO_2・NO_2濃度が高濃度で安定していたことから、熱的対流の起こらない夜間に汚染物質が接地境界層下層に滞留していると推察される。 こうした定性的なアカマツの立ち枯れと地形・社会環境要因との関係を今後さらに詳細に調べたい。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)