Project/Area Number |
07780558
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Biophysics
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐崎 元 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (60261509)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1995: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 結晶成長 / タンパク質 / コンカナバリンA / 溶解度 / 二光束干渉法 |
Research Abstract |
タンパク質の良質単結晶育成の物理化学的基礎を築くために、これまで主にリゾチームというタンパク質について得られた結晶成長学的知見を他のタンパク質に拡張することを目的とした。今回の助成期間中には、コンカナバリンAをモデルタンパク質とし、以下1〜4)の成果を得た。また、二光束干渉法を応用することにより、5)の手法を開発した。 1)ファセットの張ったコンカナバリンA結晶を再現性良く作成するための、結晶化条件および結晶化操作を確立できた。 2)コンカナバリンA結晶の格子定数を測定し、各結晶面の指数を決定したところ,コンカナバリンA結晶は(nln)面(n=7〜11)という特異な面を持つことを初めて明らかにした。この(nln)面は面全体がマクロに見て一つの傾きを持つ微斜面であり、タンパク質結晶はもちろん低分子結晶においてもまだ観察されていない非常に特異な結晶面である。 3)結晶中でのコンカナバリンAの分子配列を元に、結晶表面上のステップへのコンカナバリンA分子の取り込み過程を考察したところ、コンカナバリンA分子回転拡散を律速過程とするモデルで(nln)面の生成理由を説明できた。 4)(nln)面の面成長速度Rを種々の過飽和度σにおいて測定し、Rのσ依存性を種々の結晶成長モデルで解析した。Rとσの関係は、低過飽和度ではらせん成長モデルで、高過飽和度では付着成長モデルで最も良く説明できた。 上記2〜4)の結果はリゾチームについてのこれまでの知見とは異なり、タンパク質分子の特性が結晶成長過程に大きな影響を及ぼすことが示唆された。その詳細については今後の課題である。 5)二光束干渉法を応用して、タンパク質結晶の溶解度測定のための新規な手法を開発した。本手法を用いると、リゾチーム結晶の溶解度を、少量のサンプル(66μL)で2時間以内に決定できた。本手法が必要とするサンプル量は従来法とほぼ同じであるが、溶解度決定に要する時間は従来法の1/4〜1/12であり、タンパク質結晶の溶解度測定の飛躍的な高速化に成功した。
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