核移行シグナルペプチドによって活性化されるGRP94キナーゼの同定と解析
Project/Area Number |
07780642
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Cell biology
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
宮田 愛彦 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 細胞生物学研究部門, 研究員 (70209914)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | カゼインキナーゼII / 核移行シグナル / ストレス蛋白質 / CK2 / GRP94 / HSP / リン酸化 / ペプチド |
Research Abstract |
蛋白質の核移行は特定のアミノ酸配列が核移行シグナルとして認識されて起こる。また、核移行がリン酸化によって制御される例が転写因子等で報告され、リン酸化と蛋白質の細胞内局在の興味深い関係が示唆される。SV40ラージT抗原の核移行シグナル(PKKKRKVEDP)に相当するペプチド(以下NLS)を合成し、培養細胞の粗抽出液に加えて内在性のキナーゼによる蛋白質のリン酸化をNLSの有無で比較した。分子量約100k,80k,50k,45k等の複数の蛋白質のリン酸化がNLSによって顕著に促進された。細胞内での蛋白質の局在の制御には分子シャペロン(ストレス蛋白質)が深く関与することから、NLSによってリン酸化の亢進する蛋白質と分子シャペロンとの関係を調べた。その結果、分子量約100kの蛋白質はGRP94の抗体によって免疫沈降され、GRP94であることが示された。従って、NLSによって活性が促進され、GRP94を基質とする内在性のキナーゼが存在することが示唆された。そこで、GRP94をキナーゼフリーにまで精製し、NLS存在下に精製GRP94をリン酸化する活性を指標としてL5178Y細胞の抽出液からResourceQ(陰イオン交換カラム),POROS-Heparin, Hydroxylapatite, MonoQの各カラムクロマトグラフィーによって目的のキナーゼを精製した。但し、精製の終段階でこのキナーゼはNLSに依存せずにGRP94をリン酸化するようになった。精製されたキナーゼは銀染色で分子量約43kと27kの2本のバンドからなり、この分子量はカゼインキナーゼII(CKII)のそれと一致した。改めて各カラムクロマトグラフィー上でのCKII活性を特異的な基質ペプチドを用いたアッセイによって追跡すると、両キナーゼの各カラムクロマトグラフィー上での挙動はほぼ一致した。また、別にブタの精巣から完全精製したCKIIはGRP94をNLSに依存せずに良くリン酸化した。更に、部分精製したNLS依存性のキナーゼによるGRP94のリン酸化部位と、精製したCKIIによるGRP94のリン酸化部位は、V8によるペプチドマップでは同じであった。 以上のことから、細胞の粗抽出液中ではCKIIがNLS依存的にGRP94をリン酸化していること、またこのNLS依存性はCKIIそのものの性質ではなく、NLSは細胞粗抽出液に存在して精製CKIIには含まれない何らかの抑制性の制御因子を介してGRP94に対するCKIIの活性を制御していることが判った。現在この因子の同定と精製を進めている。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)