Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本研究では実験動物としてニホンザルを用いた.ネンブタール麻酔下に,頭蓋骨上に固定器具をとりつける予備手術をおこない,サルの回復後に,電気生理学実験をおこなった.サルをモンキーチェアに座らせて,浅麻酔下に一次運動野あるいは補足運動野上の頭蓋骨を部分的に除去し,麻酔から回復後に油圧式マニピュレーターにとりつけた金属微小電極を細胞外記録をおこないつつ脳内に挿入した.皮質内の適当な位置でこの微小電極を介して,皮質内微小刺激をおこない誘発される運動を観察した.本研究では特に顔面の運動すなわち,顎運動,舌の運動,表情筋の運動が誘発される領域を重点的に精査し,さらにその周辺領域との境界も決定した.その後に,一次運動野の顔面支配領域に,逆行性トレーサーを微量注入した.蛍光逆行性二重標識法を利用して,一次運動野や補足運動野の顔面支配領域と上肢支配領域への分布比較のための同時注入も試みた. これらの注入を受けたサルを適切な生存期間の後,灌流固定し,その脳の凍結切片を作成し組織化学的観察をした.運動前野背側部および運動前野腹側部における標識ニューロンの分布を解析した結果,運動前野腹側部に顔面支配域が広く存在する一方,運動前野背側部には顔面支配域が存在しないことが明らかになった.また,補足運動野内の吻部背側に独立した顔面支配領域が独立して存在し,かつその領域において電気刺戟法によって顔面領域の運動が誘発されうることも確認できた.本研究によってこれまであまり知られていなかった,前頭葉運動緒領野ないでの顔面運動支配方式の一端が形態学的に明らかになったと考える.
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