Project/Area Number |
07780704
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Neurochemistry/Neuropharmacology
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
武田 泰生 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60245462)
|
Project Period (FY) |
1995
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
|
Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | ミエリン構成蛋白質 / PASII / PMP22 / シュワン細胞 / 遺伝性ニューロパチー / 原因遺伝子 / 細胞増殖抑制 / 細胞接着 / 突起伸展 |
Research Abstract |
我々はこれまでに神経系発生過程におけるPASII/PMP22の発現様式を新生マウスの脊髄後根神経節細胞とシュワン細胞の共培養系を用いて検討し、PASII/PMP22がシュワン細胞の増殖並びに分化に関与する可能性を示唆した。今回は末梢ミエリンの形態形成過程におけるPASII/PMP22の発現及び機能解析を目的としてPASII/PMP22遺伝子導入による強制発現細胞株を確立し、この発現細胞株を用いたPASII/PMP22の機能解析を行った。 ラットPASII/PMP22 cDNAをpBactSTneo発現ベクターのアクチンプロモーターの下流に挿入し、これをリン酸カルシウム共沈法によりラットC6グリオーマ細胞を導入した。RNA northern blot hybridization及び抗体による免疫染色によりキュローンを選択し、強制発現細胞株を樹立した。これらの発現細胞株を用いて、細胞増殖におけるPASII/PMP22発現の影響に関して検討を行った結果、形質導入してない対照C6細胞、ネオマイシン耐性遺伝子のみを導入したC6neo細胞が著明な細胞増殖を示したのに対し、2種のPASII/PMP22発現細胞の増殖は著しく低下した。次に細胞分裂の指標となるBrdUの取込みを比較した結果、C6neo細胞では計測した細胞数の約75%がBrdU陽性細胞であったのに対し、PASII/PMP22発現細胞では約50%であった。この結果はPASII/PMP22が細胞の分裂増殖停止機構に深く関与している可能性を強く示唆した。一方、細胞凝集実験により接着能を検討した結果、興味深いことに、発現量の低い細胞株は接着能を示したが、比較的発現量が高い細胞株はC6neo細胞と変わらない接着を示した。次に発現細胞をフィーダーとし脊髄後根神経節細胞を載せ突起の伸展に対するPASII/PMP22発現の効果を検討した。その結果、PASII/PMP22の発現量に依存してDRG神経細胞の突起の伸展並びに樹状化が抑制された。これらの結果は、PASII/PMP22の発現がシュワン細胞の増殖停止及び分化を誘導する事を強く示唆している。Charcot-Maarie-Tooth (CMT)病1AにおいてPASII/PMP22の発現が正常の1.5倍に増加するとCMT病1A、正常の0.5倍に減少すると圧感受性遺伝性ニューロパチーが発症する。本研究結果は、未成熟シュワン細胞にPASII/PMP22が過剰発現をすることに伴う分裂増殖能の低下がミエリン形成不全の起因になる可能性を示唆するものであり、正常なミエリン形成の為にはPASII/PMP22の発現量を一定レベルに保つ必要性が示唆された。PASII/PMP22が接着能を持つ事やDRGの突起伸展に影響を及ぼす事は、シュワン細胞がミエリン形成へ分化誘導される過程で軸策との相互関係に関与する可能性を示唆しており、今後の検討を要する課題である。
|