Research Abstract |
細胞接着性オリゴペプチドRGDS, REDV, EILDVを液相法により合成し,元素分析,アミノ酸分析により合成されていることを確認した.(RGDS)_nの合成に関しては,以前の手法に改良を加えることにより常に,平均重合度n=20以上のものが得られるようになった.さらには,(RGDS)_4, (RGDS)_8, (RGDS)_nおよび[(RGDS)_8K_4K_2KG]の調製を行った. これらのサンプルを用いて,細胞の伸展阻害実験を行い,画像処理を用いて解析した結果,(RGDS)_nは,RGDSと比較すると初期の段階から顕著な伸展阻害効果が見られた.(RGDS)_8および[(RGDS)_8K_4K_2KG]についても,先と同様の手法を用いて解析したところ,(RGDS)_8および[(RGDS)_8K_4K_2KG]より活性が高いことかが定量的に分かった.以上より,オリゴペプチドの繰り返し数が長くなるにつれて活性は,増大傾向にあると推測される. 分子力場を用いてpoly(RGDS)構造最適化を行ったところ,最安定構造から残基当たりのエネルギー差が2kcal/mol以内に114種類の構造が得られた.poly(RGDS)の最安定構造は,右巻きα-ヘリックス構造を取っている事が分かった.この構造は,(Arg_i)CO・・・HN(Arg_<i+4>),(Arg_i)CO・・・HN^ε(Arg_<i+4>),(Gly_i)CO・・・HN(Gly_<i+4>),(Asp_i)CO・・・HN(Asp_<i+4>),(Ser_i)CO・・・HN(SeR^<i+4>),(Ser^i)CO・・・HOε(Ser_<i+4>)の6カ所で水素結合を有し安定化している事が明らかになった.さらには,α-ヘリックスが大変安定であることも明らかになった.また,Arg残基,Asp残基,Ser残基の側鎖は,それぞれヘリックスの外側を向いていた.これらアミノ酸残基の側鎖の配向が細胞接着活性に影響を及ぼしていると考えられる. 以上の結果が本年度の研究で明らかになった.
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